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2008年7月18日 (金)

政治家とマスコミの方々へのお願い:大分教員採用汚職について

大分の教員採用の汚職の影響で、全国的に採用試験のやり方を修正する動きが出ているようだ。

◆お詫び

まず同じ教員として、国民の皆さんに対して深くお詫びしたい。

信頼が無くては教育はできない。今回の汚職は、国民と教員のあいだの信頼を破壊するものだ。それは何を意味するかというと、信頼関係の上に成り立っている我が国の教育の質を損なうものであり、ひいては国益や地球全体の人的資本を損なうものだ。つまり、絶対に許されないことなのだ。

しかし、現地での保護者の気持ちは、単なる不信感ではないようだ。

「うちの担任だけは解雇対象であって欲しくないし、万一に解雇対象であっても現場の混乱を避けるためにすぐに解雇しないで欲しいし、何より子供にどう説明したらいいかわからない」

というようなインタビューが新聞に載っていた。

はっとした。児童たちが1年2年間信じてきた先生が突然クビになったら、児童たちはいったいどう受け止めるのか。私には想像できないし、正直に言うと想像したくない。

つまり、児童と教員の信頼関係というのは、大人と教員の信頼関係よりも、重い。それが損なわれた事は、単に大人同士の信頼関係が損なわれることよりも、深刻なのである。

あらためて自分の仕事の持つ責任の大きさに気づかされる。やりがいとともに、正直なところ怖さも感じる。

◆どんな人に教員になって欲しいですか

さて問題となった教員採用のやり方だが・・・これはきわめて不透明で、教員である我々にも内容どころか方針すら知らされていない。

もちろん建前としての方針はあるのだろうが、それに厳粛に従っていないことこそ、今回の事件が明らかにしたことだ(「賄賂を考慮する」と明言されているなら話は別だが)。

この際だからはっきり書くが、公務員というのは公僕なのだから、採用のやり方にはもっと国民や県民の声を反映させるべきだ。納税者にとって無益もしくは有害な公務員が納税者から給料をもらうのは、おかしい。

ひょっとしたら密室で「有識者」たちがお墨付きを与えているのかもしれないが、どんな有識者も「賄賂を考慮しろ」とは言わないはずだ。つまり、身内のことで大変申し訳ないが、現状には問題がある。だからやはり、国民や県民の声をもっと反映させるべきだ。

◆政治家の方々へ

本来、国民や県民の意見を行政に反映させるのは、選挙で選ばれた政治家の仕事だ。

まず確かめたいのは、以下のようなことだ。

「政治家は、採用試験の内容を把握しているのか。」
「把握しているのなら、それを国民や県民に知らせて、有権者の考えと合致しているか、乖離がないか、確認しているのか。」

乖離があるなら、政治家はがんがん教育に要求して欲しい。例えば現行の採用試験が知識偏重・人柄軽視だと有権者が感じているのなら、以下のような要求して欲しい。

「細かい知識量よりも人間性の豊かさで、教員を採用しなさい」
「子供たちの信頼を勝ち取るような教員を採用し、子供たちの気持ちが分からないような教員は落としなさい」

このような有権者の意見が行政に反映されたとき、有権者は深い満足感を感じるはずだ。政治家の顧客は有権者なのだから、こういう顧客満足度を意識すれば、それは政治家自身のブランド形成にもつながる。

さらに何より、行政と国民のあいだの信頼関係を強固なものにし、国益に寄与し、国民の幸福を増進することになる。それが政治家の使命のはずだ。

(もちろん、より高いレベルの政治家は自身のブランドを投げ捨てでもやらねばならないこともあるだろうが、今回の件はそんな高い次元の話ではないと思う。)

◆マスコミの方々へ

またマスコミの方々は、この際だから各県でその件の採用試験問題を報道してはどうか。国民や県民は、自分たちの子供の教育を担当する先生がどんな試験で採用されているのか、知りたいと思っているはずだ。

これは本来は政治家の仕事かもしれないが、採用といった複雑な過程をわかりやすく説明することは難しい(私も「説明者」ですから・・・)。わかりやすく説明して顧客が満足すれば、企業としてのブランド向上につながる。

また、政治の失敗や市場の失敗を監視することは、社会がマスコミに期待する役割の1つではないかと思う。

◆最後に

公務員である私がこんな公的なことを民間の方にお願いするのもおかしなことだ。しかし公務員は、政治の失敗を正す手段を厳しく制限されている。申し訳ないが、我々の役割は業務遂行であって、業務改善(立法)ではない。

この国を良くするためには、国民に情報をわかりやすく伝えて、国民の意見を汲み上げるには、政治家やマスコミの方々にがんばってもらうしかないのである。ぜひよろしくお願いします。

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コメント

 私は公務員というのも大変な立場だなぁと常々思っておりますが、この大変な立場に身を置きたがる人間にやる気のない人が多すぎることが、問題なんじゃないかと思います。何かやりたい事があるなら、公務員になって定時に帰って自由な時間でやったほうがよいという意見をたまに頂きますが、これを真に受けた人間が、実際にそうなったとして、20年後に賄賂の話が持ちかけられたときに誰が断れましょうか。

 公務に携わるわけなのだから、その業務の規模たるやどんな大企業よりも大規模なものばかりでありましょう。国民の教育を担う教育機関のなかでは想像を遥かに超えた金額が動いているのでしょう。その巨大なカネでできた壁と対峙したときに「これは私がうごかせるんだ」という呪いの言葉に囲まれたら最期、どう効率よく見つからずに掠め取ろうか画策するわけです。それが人間の本質なのだから、公務と担う人間だけではありませんが、こういった自分のものではないプールされた財産に関わる人間は全てそれに抗う方法を教育されて然るべきだと思います。教育は一生続くものなんですよね。

投稿: zombi | 2008年7月18日 (金) 08:16

残念ながら、お願いしてる先の方が腐ってるんじゃないかと思います。

最近、以下の言葉をことあるごとに思い出します。
「政治の腐敗とは、政治家が賄賂をとることじゃない。それは個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂をとってもそれを批判することができない状態を、政治の腐敗というんだ」(by某提督)

起こるべくして起こっていると私は思っているわけです。誰とは言いませんが、その方が都合がいい人(政治家とマスコミ)が多いからです。

投稿: ming_exs | 2008年7月18日 (金) 12:53

>教育は一生続くものなんですよね

くうう、重い一言ですね。おっしゃっている内容も実にごもっともで、まさに正論です。あー、辞めて逃げたくなってきた(笑)

>その方が都合がいい人

正直なところ、政治家もマスコミもつまらないですよね。

今回みたいな大事件を報道してもらえるのはありがたいですが、普段は本音や生の現実を伝えようとしない。だから政治離れ、マスコミ離れが起きている。

昔の政治家や記者はすごかったらしいですよ。本音言いまくり、内情書きまくりだったそうです。ぜひ蘇って欲しいものです。票も部数も鰻登りだと思うけどなあ。

コメントありがとうございました。とても参考になります。今後ともよろしくお願いします。

投稿: rodan | 2008年7月20日 (日) 10:31

人権団体が学校に話し合いに行けば成績の2が3に変わってしまう現実をどう考えればよいのでしょうか。人権は大切ですが、団体に押し切られてしまう管理職のふがいなさ、管理人さんは、もう経験されましたか。

投稿: 田中町 | 2008年7月22日 (火) 23:34

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